『楽園のカンヴァス』で、ふと思ったこと

【一応、ネタバレ注意です】

 

 

 

 

 『楽園のカンヴァス』の中で、悪役の立ち位置にいたキャラクターがエリク・エリクソンだ。作中でティムを罠にはめて追い込んだり、織絵を侮辱するような発言を行い自分の目的のために暗躍していた。しかし、そういった悪人的な立ち回りをしていた割には、このキャラクターに対してそれほど悪人という印象は持たなかった。その理由を考えたい。

 

 まず最初に思ったのは、「ただの根回しが得意なビジネスマンだ」という感想である。人を追い込むようなやり方を用いて利益を追求する強欲な面もあるが、ルールを勝手に破るような真似はしていないのである。事実、最終局面でジュリエットへ「夢をみた」の取り扱い権利が委任される場面では、無意味な悪あがきはせずその手続きを認めている。その前のティムへ取り扱い権利が委任される場面では反論こそしているが、あくまでも自分の意見に正当性が見込まれるがゆえの反論だった。今あるルールを無理やり壊して、目標を達成しようとするような悪質性はない。コンツが行っていたのは、自分が有利にゲームを進められるように様々な準備をすることだけである。そして、こういったことは優秀なビジネスマンであれば、多かれ少なかれ誰でもやっていることなのだろう。そういった準備の結果、ティムは悩むわけだが、もともとティムもやましさありきで夢を見に来ているので、コンツの戦略とティムの思惑で帳尻はあっているのではないだろうか。

 

 また、すべてが終わった後に何もなかったというのも、コンツの誠実性を示しているように思う。ティムの上司であるトムとあっているにも関わらず、その場はうまく誤魔化して何事もなく終わっている。あと、マニングは目当ての品を入手できなかったのだから心底怒っているだろうが、嫌がらせがなされた様子も特になかった。なんだかんだでコンツが火消しに回っていたんじゃないかと思う。結構真面目ですね。

 

 総じて、コンツは悪役だが悪人ではなかったのだと思う。本を読み終わったあとにそんなことをグダグダと考えていたので、今回はなんとなく文章に残してみることにした。「エリク・コンツは悪人なのか?」終わり。

2023年に読んでよかった本2選

 今更ですが、2023年に読んだ本の中で、特に良かった本の覚書です。

 

ハケンアニメ』 辻村深月

あらすじ

「そのシーズンで一番のアニメを評して送られる【ハケンアニメ】の称号をかけ、天才監督と気鋭の監督の戦いが、今始まる」

 3章構造になっていて、章ごとに主役も切り替わってストーリーが展開していく。その場合、大抵は1人目の主人公の視点で①から⑩までストーリーを描いた後2人目の視点で再度同じ時系列を追うか、①から③はAさん、④から⑥はBさんというように時間ごとに視点を切り替えていくのが大半だと思う。だがこの小説は、1章は①だけ、2章は④から⑦、3章は⑨だけというように、時間を飛ばしつつキャラを変えながら描写している。今までそういった話を見てこなかったので、そこに大きな衝撃を受けた。また、登場キャラクターが魅力的なのも良かった。1章で登場した際は「この人少し嫌なキャラなのかな」と思っても、2章で大きく印象が変わってきたり、視点を変えることで登場キャラに奥行きが出ていてとてもおもしろかった。

 あと、これは余談だが私は3章が一番好きで、特に祭りの活気がある様子がひしひしと伝わってきて、その情景を勝手に妄想してものすごく感動していた。

 みんないい人で、最後まで気持ちよく読めてとても良かった。直前に『虐殺器官』(伊藤計劃)を読んでいたから、よりそう思った。

 実写映画も評判がいいらしいから、いつか見たい。



マネー・ボール』 J・ソール

あらすじ

「資金不足で、万年リーグ最下位をひた走るオークランド・アスレチックス。そこに現れたビリー・ビーンという男。他のチームから目を向けられないような落ちこぼれ選手とデータを駆使した、型破りで低コストな挑戦を追ったドキュメンタリー」

 今はセイバーメトリクスという名前で、野球にデータを活用しているが、その先駆けとなるような話だ。勝つために必要な能力を持ちながらも機会に恵まれない選手たちを安く買い、金持ち球団達に挑んでいく。

 本書では、球団を管理する立場だけでなく、選手に焦点を当てた章もある。特に気に入っているのはスコット・ハッテバーグだ。元々キャッチャーだったが、肘の手術を行い、そのままキャッチャーを続けるのが難しくなる。そんなときにアスレチックスから「一塁手やってね」と専門外の守備を任されることになった苦労人でもある。懸命に努力を重ね、とある章の重要な場面で大きな役割を担うことになる。誠実な人柄がいいし、390ページあたりのシーンは、私もつい嬉しくなった。

 その他で気に入っているのが、320ページに記載されている「はっきりと必要にせまられてしまったら、すでに手遅れ。条件が悪くても、呑まざるをえなくなる。」だ。先延ばしが癖になっている私には、ひどく心に響いてくる・・・

 あと、ビリー・ビーンが何者かは1章に書いてあるので、買って読んでみてください。

 

 2023年に買ってよかった本2選でした。

 

P.S.

 現時点で2024年一番の本は、『楽園のカンヴァス』(原田マハ著)です。

ライトロードに新カードが追加されますね

ありがとう・・・ ありがとう・・・

 

 タイトルの通りですが、またライトロードにカードが追加されるようですね。遊戯王のテーマの中ではライトロードがダントツで好きなので、感謝しかありません。それにしても、定期的に新カードが追加してもらえるあたり将来性有望なテーマなので、この機会にライトロード使いが増えると嬉しいです・・・

 

 これまでにシンクロ、エクシーズ、リンクと時代に即した新カードが追加されてきましたが、融合モンスターがまだだったためいつ来るかと待ち遠しく思っていました。そして今回念願叶い、「神光の龍」が追加されました。あとはペンデュラムと儀式モンスターですね!!そして墓地融合搭載は本当に助かります。また、今回はライトロードではなく「裁きの竜」と「戒めの竜」を後押ししてくれるようなカードになっているのが本当に良い。どうしても現代のライトロードでは、ライトロードはあくまでも展開要因として、切り札はロンゴミアントなど外部に頼るしかなかったわけです。そうなると、お二方ともなかなか採用できなかったのですが、「神光の龍」のお陰で両名とも使いやすくなったように思います。さらに「光道の龍」でサーチしやすくなったのも本当に嬉しい。やっぱり、ライトロードの切り札は竜がいいですね。

 

 そして何よりも良かったのが、テーマ内で強い妨害札が増えたことですよね。先程も書いた通り、今までは強い布陣を敷きたければテーマ外のカードを使うことが必須となっていました。しかし上記の「神光の龍」の登場によって、相手ターンにもフィールドと墓地のカードを全除外できるという、かなり強力に相手を妨害できるようになりました。さらに「ライトロード・アイギス」という使いやすいトラップカードが増えたため、よりライトロードをメインに据えてデッキ構築できるようになりました。本当にありがとう・・・

(「ライトロード・アテナ ミネルバ」の登場でデッキ削りしながら、「トワイライトロード・シャーマン・ルミナス」の効果を発動する条件を満たせるのも助かりますし、「ライトロード・デーモン ヴァイス」によって手札に来た「ライトロード・ビースト ウォルフ」や「ライトロード・アーチャー フェリス」を有効活用できるし、展開に安定感がかなり増したのも、ライトロードを主軸にしたデッキの組やすさを大きく高めています。)

 

 すべてのカードが明確に役割を持ち、なおかつ欲しい物を持っている・・・完璧ですね。最高のクリスマスプレゼントになりました。とても良い気持ちで年を越せそうです・・・

シャニソンがリリースされましたね

 昨日、シャニソンがリリースされた。アプリの総合ランキングで1位を取ったり、プロデュース中のゲームが遊戯王のテーマであるサンダードラゴンに似ているということで、話題になっている。プロデューサーの端くれとして(そして、元遊戯王プレイヤーとして)、結構嬉しい。「シャニマスはプロデュースがメインなのに、シャニソンにもプロデュースシステム導入するんだ」と驚きはあったが、話題になっているのならオールオッケーといったところだ。それにしても最近は、アイマスの話題が続く。ミリマスのアニメ放映、今回のシャニソンリリース、異次元ライブにシャニマスのアニメ放映。シャニマスの漫画やゲームセンターへの筺設置などもある。ライトユーザーならともかく、ヘビーユーザーとなると追うのがかなり大変だろう。ファンにとっては嬉しい悲鳴だ。そういえば先日読んだ『IPのつくりかたとひろげかた』(イシイジロウ著)に、途切れることなく、様々な媒体で展開することが大切というような事が書いてあったが、まさにそのように拡大し続けている。新ブランドの展開予定もあるし、まだまだアイマスは盛り上がっていくだろう。一人のプロデューサーとして、今後もアイドルたちを応援していきたい。

ダブルメロンのクリームパン

 先日、セコマの「ダブルメロンのクリームパン」を食べた。結構メロンの風味を前面に押し出していて、面白いパンだった。パンを食べながら、ぼんやりとパッケージを眺める。パッケージに、商品名が英語で”Double Melon Cream Bun”と書いてある。・・・”Bun”?なぜか、「パン」ではなく「バン」と書いてある。試しに、DeepLに”Bun”と入力してみる。「バン」という返答しかない。じゃあ、変換するとき「ぱん」じゃなくて「ばん」と入力してしまったのだろうか。いや、パソコンなら”p”と”b”を押し間違えないだろうし、「ばん」を変換しても”Bun”にはならない。そもそも、パッケージデザインにOKが出るまでに、複数人でチェックしているだろうし、そもそも間違いではないと考えたほうが適切か。試しにGoogleで、「ダブルメロンのクリームパン」と検索してみる。2021年に書かれたブログが見つかったが、その写真にも”Bun”と書かれている。やっぱり、これで正解らしい。どこかで「間違っていることより、正しいことを実証するほうが難しい」と聞いたことがあるので、もう諦めることにした・・・


 そして今日、この一連の流れを書いたメモを見ていたら、また気になってきた。そういえば、”Cream Bun”では調べていなかった。試しに、こちらのワードで調べてみる。『ウィキペディア(英語) Cream Bun』。あっさりと情報が出てきた。あぁ、バンズってことか!かなりスッキリした。しかし、「バンズ」なら”Buns”じゃないのか?でも、ウィキペディアには”Cream Bun”と書いてあるわけで、これも正しいのだろう。しかし、 YouTubeの動画タイトルは、どれも”Buns”だ。・・・また、謎が1つ増えた。

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を見た

 先日、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を見てきた。NHKで放送されたドラマを見て「高橋一生の演じる岸辺露伴」にがっちりハートを掴まれた人間としては、見に行くしかなかった。ドラマが面白かったし、映画も面白いんだろうと期待に胸を膨らませ、さっそく映画館に足を運んだ。結果としては、もちろん満足した。先に気になった点を挙げると、最初は岸辺露伴青年期のシーンが少し長く感じたことである。逆にいえば、それ以外は特に引っかかるところはなかった。その青年期のシーンですら、振り返ると必要なシーンであったと思える。露伴の心情に寄り添いやすくなるし、テンポアップするシーンがより引き立てられて、しっかりとのめり込めた。

 また、泉京香がとても良かった。反省することはあっても、後悔することはないような真っ直ぐな性格だから、露伴先生に付き合い続けたり、人を支える素晴らしい発言ができるのだろうと思った。

 総じて、ストーリーがしっかりとまとまっていて、キャラクターもしっかり立っている素晴らしい映画だった。

 

 ・・・しかし、ここまできれいにまとまっていると、実写版『岸辺露伴は動かない』シリーズは、この作品を持って有終の美を飾る形で終わってしまうのではないかという不安と悲しみが襲ってくる。原作は外伝的作品なのだから、仕方ないことではある。今まではなんだかんだ続きそうだと思っていたが、そろそろ覚悟を決めた方が良いのかもしれない。